新リース会計基準とは?2027年度に適応される新リース会計基準についてわかりやすく解説します!
2027年度から適用される新リース会計基準により、企業の会計処理が大きく変わります。これまで貸借対照表に計上されていなかったオペレーティングリース契約も、「使用権資産」と「リース負債」として認識する必要があります。この変更により、企業の財務諸表の見え方や業務フローに大きな影響を与えることが予想されます。本記事では、新基準の概要と具体的な変更点、経理担当者が今から準備すべき対応策についてわかりやすく解説します。
新リース会計基準とは?その背景と目的新リース会計基準の導入背景新リース会計基準の導入は、企業の財務情報の透明性向上を目的としています。従来の基準では、オペレーティングリースの契約が貸借対照表に計上されず、企業の財務状況を正確に把握しにくいという課題がありました。この問題を解決するため、すべてのリース取引が「使用権資産」と「リース負債」として認識されるルールに変更されました。
また、国際会計基準との整合性も重要な要素です。海外ではすでに同様の基準が適用されており、日本の会計基準も国際基準と歩調を合わせる必要がありました。今回の改正により、国内企業の財務報告がより一貫性を持ち、投資家や金融機関が企業の財務状況を適切に評価できる環境が整います。
適用開始時期と対象企業新リース会計基準は、2027年度以降に開始する事業年度から強制適用される予定です。この変更により、企業の財務報告の方法が大きく変わり、リース契約の取り扱いが見直されることになります。
対象企業と対象外企業の違いは以下の通りです。
新リース会計基準適用対象企業・金融商品取引法の適用会社とその子会社、関連会社
・会計監査人を設置する会社とその子会社(会社法における大会社)
新リース会計基準適用対象外企業(任意適用)・資本金5億円未満、又は負債総額200億円未満の企業(会計監査人設置企業と関連会社は除く)
対象企業においては、設備投資が多い製造業や、不動産リースを利用する企業では、影響が大きいと考えられます。そのため、早い段階で基準の詳細を把握し、適用に向けた準備を進めることが重要です。
企業は、新基準に対応するため、経理システムの更新や社内の業務フローの見直しを行い、スムーズな移行を目指す必要があります。
現行基準との違いとは?主要な変更点を解説リース取引のオンバランス処理の義務化新リース会計基準では、貸借対照表に「使用権資産」と「リース負債」の項目が追加されるため、リース契約の会計処理が大きく変更されます。従来の基準では、リース契約はファイナンスリースとオペレーティングリースに分類され、オペレーティングリースは貸借対照表に計上しない処理が認められていました。しかし、新基準では、すべてのリース取引が貸借対照表に計上されるルールに変更されます。
この変更により、財務諸表におけるリース取引の影響が明確になります。リース契約が「使用権資産」と「リース負債」として計上されるため、企業の財務指標が変動します。企業によっては、総資産や負債比率が変化し、財務状況の見え方が従来とは異なるものになるでしょう。
また、リース期間の判断基準も厳格化されます。契約更新の可能性が高い場合、更新期間を含めて計上する必要があり、経理業務の負担増加が避けられません。
財務諸表への影響と開示要件の強化貸借対照表には、新たに「使用権資産」と「リース負債」の項目が追加され、財務諸表の表示方法が変更されます。これにより、リース契約の実態が詳細に開示され、投資家や金融機関が財務状況をより正確に評価できるようになります。
損益計算書では、従来のリース料計上が「減価償却費」と「支払利息」に分類されるため、営業利益や純利益の算出方法が変わります。特に、リース契約初期には支払利息の負担が大きくなるため、利益計上のタイミングに影響を与える可能性があります。
さらに、リース取引に関する注記の強化も求められます。契約条件や負債の満期構成など、詳細な情報開示が必要となり、経理業務の負担が増加します。
新リース会計基準が企業経営に与える影響経理業務の負担増加とシステム対応新基準では、すべてのリース取引を「使用権資産」と「リース負債」として認識しなければなりません。これにより、契約ごとの計算が複雑になり、経理担当者の作業量が増える可能性があります。
また、リース期間の判断や割引率の設定など、細かな要件を満たす必要があります。そのため、リース契約の情報を一元管理し、新基準に即した計算を正確に行う体制を整えることが求められます。さらに、会計ソフトの改修が必要となる場合もあり、企業はシステム対応を検討しなければなりません。
財務戦略と経営判断への影響新基準の適用により、企業の財務指標が変化します。リース契約が資産と負債として計上され総資産や負債比率に影響を与えるため、特に、金融機関との融資交渉や投資家への財務情報の説明では、新たな視点が求められます。
また、リース契約の見直しを進める企業も増えるでしょう。資産計上が避けられないため、リースと購入のどちらが有利かを慎重に判断する必要があります。企業は財務部門と経理部門が連携し、リース戦略を再構築することが求められます。早い段階で新基準の影響を分析し、適切な対応を準備することが重要です。
企業が今から準備すべき対応策リース契約の見直しと管理体制の整備新リース会計基準の適用に向け、企業は既存のリース契約を見直す必要があります。オペレーティングリース契約も資産と負債として認識されるため、財務指標に影響を与えます。契約内容を詳細に確認し、資産計上による財務状況の変化を把握することが重要です。
また、リース契約の管理体制を整備することも必要です。契約期間や支払い条件、更新オプションを一元管理し、会計処理を正確に行える環境を構築しなければなりません。特に、長期契約の場合、将来的なリース料の変動や財務への影響を慎重に検討することが求められます。
さらに、リース契約の情報は経理部門だけでなく、経営層や関連部門とも共有することが重要です。組織全体で契約状況を把握することで、財務戦略の精度を向上させ、新基準への対応をスムーズに進めることができます。
経理部門の業務フロー改善と社内研修の実施新基準の適用に伴い、経理業務の負担が増加することが予想されます。従来の会計処理では対応できない部分が生じるため、業務フローの見直しが不可欠です。リース取引の処理手順を整理し、標準化することで、業務の負担軽減と精度向上を図る必要があります。
また、新基準に対応するための社内研修の実施も重要です。経理担当者が新たな処理方法を理解し、正確に運用できるよう、基準の変更点や具体的な会計処理について学ぶ機会を設けることが求められます。特に、リース契約の計算方法や財務諸表への影響を正しく認識することが重要です。
さらに、経理システムの見直しも必要となる場合があります。新基準に適合したシステムを導入することで、リース資産や負債の管理が容易になり、業務の効率化が可能になります。企業はこれらの準備を早期に進めることで、新基準適用後もスムーズな運用を実現できるでしょう。
まとめ:新リース会計基準への対応を今すぐ始めよう新リース会計基準の適用により、リース契約が貸借対照表に計上されることで、企業の財務戦略や経理業務に大きな影響を与えます。財務諸表の見え方が変わることで、金融機関や投資家の評価基準も変化し、リース取引に関する意思決定がこれまで以上に慎重になることが求められます。そのため、企業は早い段階で新基準の影響を理解し、リース契約の見直しや経理システムの整備を進めることが重要です。
また、経理担当者に対する研修の実施や、業務フローの見直しを行うことで、新基準へのスムーズな移行が可能になります。リース資産や負債を適切に管理するための体制を構築し、社内での情報共有を徹底することで、経理業務の負担を軽減しながら、正確な財務報告を実現できます。さらに、新基準に対応したERPシステムの導入を検討することも、効率的な運用を行う上で有効な手段となります。
日本インフォメーション株式会社では、GRANDIT社のビジネスパートナーとして、在庫管理機能を含む基幹システムである国産Web-ERP「GRANDIT(グランディット)」およびクラウド型ERP「GRANDIT miraimil(ミライミル)」を取り扱っておりますので、お気軽にお問合せください。