ERPとは?ERPの特徴と業務システムとの違いを解説します!
ERPシステムは企業の業務効率を大きく向上させる基幹システムとして注目を集めています。しかし、その特徴や他のシステムとの違いについては、まだ十分に理解されていない面があるのではないでしょうか。本記事では、ERPシステムの基本的な概念から具体的な機能、そして従来の業務システムとの違いまでを詳しく解説します。ERPの導入を検討している方はもちろん、業務改善に興味がある方も参考にしてください。
ERPとは?基本的な概念と機能
ERPとは
ERPは「Enterprise Resource Planning」の略で、日本語では「企業資源計画」とされ、企業の経営資源を効率よく管理し、経営の最適化を目指す統合基幹システムです。企業の経営資源を効率的に管理し、経営の最適化を実現するERP(統合基幹システム)は、企業の経営戦略を支える重要なツールとして広く認知されています。
統合基幹システムとしての特徴を活かし、企業内の様々な業務プロセスを一元管理することで部門間の情報共有をスムーズにし、全社的な業務効率の向上と意思決定の迅速化を実現します。会計・財務管理から販売管理、在庫管理、生産管理、人事・給与管理まで、企業の基幹業務を包括的にカバーする機能により、部門間の連携強化と業務の効率化を可能にしています。
システム内のデータ追跡機能や監査機能を備えていることから、コンプライアンスや内部統制の強化にも大きな役割を果たしており、不正や誤りの防止はもちろんのこと、経営の透明性向上にも寄与しています。
クラウド技術の発展に伴い、導入・運用コストの最適化が進み、中小企業にとっても導入しやすいシステムへと進化してきました。AIやIoTなどの先端技術との連携による高度な分析・予測機能の実装など、企業の成長や事業環境の変化に応じた進化を続けています。
このように企業全体の業務プロセスを見直し最適化する重要な機会となる統合基幹システムの導入は、経営戦略との連動により企業の競争力強化に大きく貢献する要素となっています。
ERPと業務システムとの違い
従来の業務システムでは、財務会計や販売管理、在庫管理など、部門ごとに独立したシステムが導入されており、部門間の情報連携や全社的な最適化に課題を抱えていました。これに対し、統合システムであるERPは、各業務機能を有機的に結びつけ、一つのプラットフォームとして機能することで、以下のような価値を企業にもたらします。
情報の一元管理による業務効率の向上 統合されたデータベースにより、部門間の情報共有が円滑になり、企業全体の業務効率が飛躍的に向上します。
業務プロセスの標準化 全社で統一された最適なプロセスの構築を支援し、部門ごとの異なるプロセスを解消します。
経営の可視化売上、利益、在庫などの経営指標をリアルタイムで把握することで、迅速で正確な意思決定を実現します。
企業の規模や業種、経営戦略に応じてシステムの選択は異なりますが、ERPの統合的アプローチは企業全体の効率化と競争力強化に大きく寄与します。
ERPの種類と選び方
ERPシステムを導入する際には、企業のニーズに適したタイプを選ぶことが大切です。ERPシステムは、導入形態と業種対応の観点から以下のように分類されます。
導入形態による分類
オンプレミス型
・特徴:自社サーバーでシステムを構築・運用
・メリット:独自のカスタマイズが容易、セキュリティ管理の自由度が高い
・課題:初期投資が大きい、専門的知識が必要
クラウド型
・特徴:インターネットを通じて利用
・メリット:初期投資を抑制、導入期間の短縮、保守・更新の負担軽減
・課題:カスタマイズの制限、インターネット環境への依存
業種対応による分類
業種別ERP製造業や小売業など、特定業界のプロセスやニーズに特化した機能を提供し、業界標準のベストプラクティスを活用できます。
汎用型ERP多様な業種に対応する基本機能を備え、多角的なビジネスを展開する企業に適しています。
十分な情報収集と検討を行い、最適なERPシステムを選ぶことが、成功への鍵となるでしょう。
ERPの導入メリットと課題
導入によって得られる利点は4つあります。ここでは、各利点とそれを実現する際の課題を説明します。
業務効率化と生産性の向上1つ目は、業務効率化と生産性の向上です。手作業の自動化、データ入力の重複解消、部門間の円滑な情報連携により、大幅な効率化が実現できます。また、業務フローの変更に対する従業員の抵抗感を和らげ、新しいシステムへの理解を促進することも重要な課題となります。
データの一元管理と可視化2つ目は、データの一元管理と可視化です。全社データを統合的に管理し、経営状況をリアルタイムで把握できることで、より正確なレポーティングが可能になります。しかし、この効果を最大限に引き出すためには、データ品質の確保やマスターデータの整備が不可欠です。さらに、データを適切に分析・活用できる人材の育成も課題となります。
意思決定の迅速化3つ目は、意思決定の迅速化です。客観的なデータに基づく判断が可能になり、経営リスクの早期発見や市場変化への迅速な対応が実現します。
標準化によるガバナンスの強化4つ目は、標準化によるガバナンスの強化です。業務プロセスの統一により、内部統制の強化とコンプライアンスの徹底が図れます。しかし、過度な標準化は各部門の特性や柔軟性を損なう可能性があるため、適切なバランスを見極める必要があります。また、標準化されたプロセスを確実に運用するためのルール作りも重要です。
これらの利点を最大限に活かすためには、以下の点に注意が必要です
・経営層の強力なコミットメント
・会社全体での意思統一(目指す方向の共通認識化)
・段階的な導入アプローチ
・充実した教育/研修プログラムの実施
・継続的な改善活動の推進
ERPシステムの導入は、単なるシステム更新ではなく、企業全体の業務改革プロジェクトです。短期的には様々な課題に直面しますが、それらを着実に克服することで、長期的な企業価値の向上につながります。
ERPの導入プロセスと成功のポイント
導入プロセスには4つの段階があります。それぞれの段階で成功のポイントも説明します。
準備段階1つ目は、準備段階です。この段階では、単にシステム導入の準備を行う訳ではなく、経営層と現場を含めた会社全体で導入目的の明確化を行う必要があります。各部門の業務フローや既存システムの現状分析を通じて、ERPシステムに求める具体的な要件を特定します。これにより、現場のニーズを的確に反映したシステムの構築が可能になります。
システム選定段階2つ目は、システム選定段階です。ここでは、機能の適合性、導入実績、サポート体制という3つの観点から評価を行います。特に、デモ環境での使いやすさの確認は重要です。導入にあたっては、一括導入ではなく基幹機能から段階的に進めることで、リスクを最小限に抑えることができます。
データ移行段階3つ目は、データ移行段階です。データのクレンジングとマッピングを慎重に実施し、新旧システムの並行稼働期間を設けることでデータの整合性を確保します。同時に、多様な教育方法とサポート体制を整備し、ユーザーの定着を促進します。
運用・改善段階4つ目は、運用・改善段階です。定期的な評価とフィードバックを通じて、システムと業務プロセスの最適化を図ります。経営環境やニーズの変化に柔軟に対応できる体制を整えることで、持続的な競争優位を実現します。
ERPの導入を成功させる秘訣は、こちらの記事「ERP導入における成功の秘訣は「システム化構想」」に詳細に記載していますので、ご興味があればご覧ください。
ERPの最新トレンドと今後の展望
本章では、ERPシステムの最新トレンドと今後の展望についてみていきます。
ERPシステムの進化は、最新テクノロジーとの融合により新たな段階を迎えています。なかでもAIとの連携は、需要予測の精度向上や在庫管理、生産計画の最適化を実現し、例えば企業の意思決定を支援するチャットボットの導入により、ユーザーとのコミュニケーションもより円滑になっています。
製造現場では、IoTとの連携によりセンサーデータをリアルタイムで収集・分析することが可能になりました。これにより、生産管理や品質管理の即時性が高まり、生産性の向上と不良品の削減を実現しています。
クラウド技術の発展は、モバイル対応とリモートワーク支援を加速させています。場所を問わない情報確認や承認作業が可能となり、セキュアな環境下での柔軟な働き方を支援しています。
さらに、ERPシステムは企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支える基盤として進化を続けています。データの可視化や分析機能の強化により、より精度の高いデータドリブンな意思決定が可能となりました。
今後は、ローコード開発の発展によりカスタマイズの容易性が向上し、システムの柔軟性と拡張性がさらに高まることが期待されます。これらの最新トレンドを効果的に活用することで、企業の持続的な発展を実現できます。
まとめ:ERPで実現する企業変革このコラムでは、ERPシステムの基本的な特徴と他の業務システムとの違いも合わせて解説しました。
ERPシステム導入に当たっては、性能だけに注目するのではなく、ベンダーとユーザー双方の視点から最適な方法を探っていくことが重要です。
また、日本インフォメーション株式会社では、GRANDIT社のビジネスパートナーとして、国産Web-ERP「GRANDIT(グランディット)」およびクラウド型ERP「GRANDIT miraimil(ミライミル)」を取り扱っておりますので、お気軽にお問合せください。